FP事務所での初回相談
Aさん: 「こんにちは、Bさん。今日は保険の見直しについて相談に乗っていただきたくて来ました。」
Bさん: 「Aさん、こんにちは。ご相談ありがとうございます。まず、Aさんが『なぜ保険を見直したい』と思われたのか、きっかけや目的を教えていただけますか?」
Aさん: 「実は、最近子供が生まれたんです。それで、もしもの時の備えをしっかりしておきたいなと。でも、どんな保険に入れば良いのか、何から考えれば良いのか分からなくて…。」
Bさん: 「なるほど、お子さんの誕生、おめでとうございます!それは大きなライフイベントですね。保険の目的を整理するところから始めましょう。Aさんが保険で守りたいものは何ですか?例えば…」
- ご自身が亡くなった後の、ご家族の生活費や教育費ですか?
- ご自身やご家族が病気やケガをした時の医療費ですか?
- 将来、介護が必要になった時の費用ですか?
- お家や車などの財産を守りたいですか?
Aさん: 「そうですね…一番は、私がもしもの時に家族が困らないようにしたいです。あとは、大きな病気になった時の医療費も心配です。」
Bさん: 「承知しました。では、保険の目的は大きく分けて2つですね。『家族の生活保障』と『医療費への備え』。まずは、この2つのリスクについて、どれくらいの確率で起こりそうか、もし起きたら経済的にどのくらいのインパクトがあるか、一緒に考えてみましょう。」
(ここでBさんは、ホワイトボードにリスクマトリクスを書き始める)
Bさん: 「この図を見てください。縦軸が『発生確率』、横軸が『経済的損失』です。例えば…」
- 右上の領域: 発生確率が高く、損失も大きい。ここは絶対に保険でカバーすべき最優先エリアです。Aさんの場合、ご家族の生活保障はここに入りますね。万が一のことがあった場合、ご家族の生活は大きく変わってしまいます。
- 左上の領域: 発生確率は低いけれど、損失は非常に大きい。例えば、がんなどの大きな病気です。確率は低くても、一度なってしまうと治療費が高額になる可能性があります。
- 右下の領域: 発生確率は高いけれど、損失は比較的小さい。例えば、風邪をひいて病院に行くような場合です。ある程度は自己資金で対応できるかもしれません。
- 左下の領域: 発生確率も低く、損失も小さい。ここは、保険で備える必要性は低いかもしれません。
Aさん: 「なるほど、この図で見ると分かりやすいですね!がん保険とかは、左上の領域に入るんですね。」
Bさん: 「そうですね。次に、それぞれの領域に対して、具体的に『いくら』の保障が必要か、『いつまで』その保障が欲しいかを考えましょう。」
(Bさんは、Aさんの家族構成、収入、支出、貯蓄などの情報を詳しくヒアリングしていく)
Bさん: 「例えば、Aさんが亡くなった場合、ご家族の生活費は年間いくらくらい必要でしょうか?お子さんの教育費は、幼稚園から大学まででどれくらいかかりそうでしょうか?住宅ローンは残っていますか?」
Aさん: 「ええと…生活費は年間400万円くらい、教育費は…大学まで行くとすると、1人1000万円以上はかかりますよね。住宅ローンはあと30年残っています。」
Bさん: 「なるほど。これらの情報を基に、必要な保障額を計算してみましょう。例えば…」
- 遺族の年間生活費: 400万円 × (お子さんが独立するまでの年数)
- 教育費: 1000万円 × お子さんの人数
- 住宅ローン残債
Bさん: 「…などを合計すると、Aさんに必要な死亡保障額の目安が見えてきます。医療保険については、入院1日あたりの自己負担額や、先進医療にかかる費用などを考慮して、保障額を決めると良いでしょう。」
Aさん: 「なるほど…自分で計算するのは大変そうですが、こうやって一緒に考えてもらえると安心です。」
Bさん: 「もちろんです。次は、具体的な保険商品を比較検討していきましょう。保険商品には、たくさんの種類があります。例えば…」
- 定期保険: 一定期間だけ保障する、掛け捨てタイプの保険。保険料が割安。
- 終身保険: 一生涯保障が続く保険。貯蓄性もある。
- 養老保険: 一定期間後に満期保険金が受け取れる、貯蓄性の高い保険。
- 医療保険: 病気やケガの治療費を保障する保険。
- がん保険: がんに特化した保険。
Bさん: 「…などなど。これらの保険を、Aさんの目的や予算に合わせて組み合わせていきます。5P分析というフレームワークの一部を使うと、比較検討しやすいですよ。」
- Purpose (目的): 先ほど整理した「家族の生活保障」「医療費への備え」を再確認します。
- Product (商品): 各保険商品の特徴、メリット・デメリットを比較します。
- Price (価格): 保険料と保障内容のバランスを見ます。
- Provider (保険会社): 保険会社の信頼性や評判も重要です。
- Policy details (契約条件): 保障の範囲や、保険金が支払われないケースなどを細かく確認します。
(Bさんは、いくつかの保険会社の商品パンフレットをAさんに見せながら、それぞれの特徴を説明する)
Bさん: 「同じ種類の保険でも、会社や商品によって保障内容や保険料が大きく異なります。複数の商品を比較検討することが大切です。また、保険は一度入ったら終わりではありません。ライフステージの変化に合わせて、定期的に見直しをしましょう。」
Aさん: 「結婚、出産、住宅購入、子供の独立…など、節目で見直すんですね。」
Bさん: 「はい。その時々で、必要な保障は変わってきます。保険料が負担になっていないか、カバーしたいリスクにきちんと対応できているか、などをチェックしましょう。もし、ご自身での見直しが難しい場合は、いつでもご相談ください。」
Aさん: 「Bさん、今日は本当にありがとうございました。保険のことが、少しずつ分かってきた気がします。まずは、教えていただいたことを参考に、自分でじっくり考えてみます。」
Bさん: 「はい、ぜひそうしてください。保険選びは、Aさんとご家族の将来を守るための大切なステップです。焦らず、じっくりと検討してくださいね。」
(ここで、初回の相談は終了)
この後、AさんはBさんのアドバイスを参考にしながら、自分に合った保険プランを検討し、後日、再度Bさんに相談することになりました。
このように、対話形式で、かつコンサルティング的な視点を取り入れることで、保険選びのプロセスがより具体的にイメージできたのではないでしょうか。必要に応じて、さらに詳細な情報を提供することも可能です。